クレプトマニアという言葉をご存知でしょうか?
クレプトマニアは日本語に訳すと「窃盗症」と呼ばれ、衝動的に窃盗を繰り返してしまう
精神の病です。
そう、つまり病気ということです。
クレプトマニアとは?
通常の窃盗と大きく違うのは、別に生活に困ったり、金銭的に困っているわけではないのに行うということです。
世の中には買い物をしてストレス発散している人、食べまくってストレス発散している人など、ストレスの発散方法は人によりいろいろありますが
クレプトマニアの方は窃盗することで、ストレスを発散しているため、ストレスがたまった際に窃盗が悪いことであると思いつつも
窃盗を繰り返してしまうようです。
また、感情の変化が激しく、窃盗前の興奮状態と終わった後の後悔とで躁鬱状態になります。
治療法は?
クレプトマニアは病気である以上、治療しなくてはなりません。
自分をコントロールできないのですから、精神面での治療を行います。
まず行動療法と言って盗みたいと考えると、吐き気や痛みという感覚を持つように訓練します。
次は薬による治療、ダイレクトに脳神経に働きかけるSSRIと呼ばれる薬物を投与します。
クレプトマニアの特徴・なりやすい人
ところでどんな人がクレプトマニアになるのでしょうか?
クレプトマニアにはある特徴があります。
・男性よりも女性の方が多いこと
・過食症、拒食症と呼ばれるいわゆる「摂食障害」を抱えている人の約7割が発症していること
・家族関係などトラブルを抱えている人に多いこと
いずれも早く治療することが大切です。
早期発見、これに尽きますが、アメリカで診断基準がありますので、ご紹介しましょう。
① 生活に困っていないのに、物を盗みたいと思う衝動が抑えきれなく、繰り返される。
② 窃盗の前に緊張し、気分が高揚する。
③ 窃盗する時に快感を覚える。
日本でもチェックリストをインターネットでダウンロードできますので、行ってみるのも良いかもしれません。
⇒クレプトマニア:チェックリスト
クレプトマニアかも?と思ったら
もしかして自分もクレプトマニアかも?と思ったら具体的にはどうしたらいいでしょうか?
例えば、長野県の長期保護観察所では、クレプトマニアの治療について、初めてプログラムを作成し導入しています。
内容は
①窃盗をはじめた理由を考える。
②どうしたら窃盗しなくなるか対策を考える。
③窃盗しそうになった時、やめる「おまじない」の動作を決め練習する。
参考になるかもしれませんね。
また、病院やその他の場所でも経験者が集まる「自助グループ」があります。
1人で抱え込まず相談することで回復に向かう手助けをします。
そしてクレプトマニアに悩む人たちの掲示板もあります。
⇒クレプトマニアBBS-掲示板
他には、病院で本格的な治療を行うことも出来ます。
群馬県の精神科病院「赤城高原ホスピタル」や横浜の「大石クリニック」等があります。
治療を適切に行い、再犯を防がなくてはいけませんが、既に行った行為については当然責任を負わなくてはなりません。
いくら病的窃盗とはいえ、責任能力がないとされるわけではないからです。
摂食障害の症状として生じる解離状態での窃盗や、医師による処方によるもので意識が変容していた場合は
責任能力の低下(心身耗弱)の状態と判断される場合もあると話す弁護士もいますが、しかし、大阪高判平成26年7月8日、
被告がクレプトマニアに罹患していたとしても、「犯情」にはさほど影響しないという判決が出ていますので、難しいと思われます。
クレプトマニアを治すにはまず行動です。
精神科はなかなか受診しにくい方もいるかもしれませんが、勇気をもって行動しましょう。